Web Syllabus(講義概要)
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科目名:化学療法学Ⅱ
英文名:Chemotherapy Ⅱ
科目概要:薬・創薬, 3年, 前期, 必修, 1単位
A, B, C, D, S, 月曜日5時限, 1501大講義室
2301大講義室
科目責任者:岡田 信彦 (微生物学・教授)
担当者:岡田 信彦 (微生物学・教授), 小山 信裕 (微生物薬品製造学・講師), 大手 聡 (微生物薬品製造学・講師), 小林 啓介 (微生物薬品製造学・講師), 供田 洋 (特任教授)
備考:〔科目ナンバリング:PP301-BI03, PL301-BI03〕

授業の目的

真菌、ウイルスと寄生虫による感染症及びがん(悪性腫瘍)に対する薬物療法を科学的に理解するために、化学療法薬の作用機序、生物活性、副作用に関する基本的知識を修得する。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の薬学科①、生命創薬科学科①に関連する。

教育内容

微生物を含む天然資源から発見されてきた医薬品やそのリードについて講義する。化学療法学IIでは、抗真菌薬、抗MRSA薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬や抗悪性腫瘍薬を中心に説明する。

教育方法

パワーポイントと配布資料を用いて講義を進める。

講義内容

No.講義項目担当者開講日到達目標・学習方法・内容SBO
1天然資源創薬の概論供田 洋
5月11日創薬資源としての微生物の有用性を説明できる。
2化学療法薬耐性供田 洋
5月18日各種化学療法薬に対する細菌の耐性化機構を細菌内の各種代謝反応に基づいて説明できる。
3化学療法薬各論(抗真菌薬)小山 信裕
5月25日代表的な抗真菌薬を列挙し、基本構造、作用機序、生物活性、主な副作用について説明できる。
4化学療法薬各論(抗ウイルス薬)小山 信裕
6月1日代表的な抗ウイルス薬を列挙し、基本構造、作用機序、生物活性、主な副作用について説明できる。
5化学療法薬各論(抗MRSA薬、抗ヘリコバクター・ピロリ薬、抗寄生虫薬)小山 信裕
6月8日代表的な抗MRSA薬、抗ヘリコバクター・ピロリ薬や抗寄生虫薬を列挙し、基本構造、作用機序、生物活性、主な副作用について説明できる。
6がん化学療法薬各論(アルキル化薬、代謝拮抗薬)小林 啓介
6月15日がん(悪性腫瘍) の病態、症状、治療について概説できる。代表的なアルキル化薬や代謝拮抗薬を列挙し、作用機序、主な副作用について説明できる。
7がん化学療法薬各論(抗腫瘍性抗生物質、植物成分、白金錯体)小林 啓介
6月22日代表的な抗腫瘍性抗生物質、植物由来抗がん薬及び白金錯体を列挙し、基本構造、作用機序、主な副作用について説明できる。
8がん化学療法薬各論(ホルモン関連薬、サイトカイン関連薬、分子標的治療薬)大手 聡
6月29日代表的なホルモン関連薬、サイトカイン関連薬、分子標的薬を列挙し、作用機序、主な副作用について説明できる。
9がん化学療法薬各論(分子標的治療薬、副作用と耐性化獲得機構)大手 聡
7月6日代表的な分子標的治療薬を挙げ、作用機序、主な副作用について説明できる。主要な抗悪性腫瘍薬に対する耐性獲得機構を説明できる.主要な抗悪性腫瘍薬の主な副作用を列挙し,その症状を説明できる.副作用軽減のための対処法を説明できる.
10微生物が生み出す医薬品・天然由来化学療法薬の生合成供田 洋
7月13日抗生物質以外の微生物由来の医薬品について概説できる。代表的な天然由来の化学療法薬の構造を生合成経路に基づいて説明できる。
11予備日7月20日
No. 1
講義項目
天然資源創薬の概論
担当者
供田 洋
開講日
2020-05-11
到達目標・学習方法・内容
創薬資源としての微生物の有用性を説明できる。
SBO
C5221微生物由来の生物活性物質を化学構造に基づいて分類できる。
C5222微生物由来の代表的な生物活性物質を列挙し、その作用を説明できる。
C5241医薬品として使われている代表的な天然生物活性物質を列挙し、その用途を説明できる。
C5242天然生物活性物質を基に化学修飾等により開発された代表的な医薬品を列挙し、その用途、リード化合物を説明できる。
C5243農薬や香粧品などとして使われている代表的な天然生物活性物質を列挙し、その用途を説明できる。
No. 2
講義項目
化学療法薬耐性
担当者
供田 洋
開講日
2020-05-18
到達目標・学習方法・内容
各種化学療法薬に対する細菌の耐性化機構を細菌内の各種代謝反応に基づいて説明できる。
SBO
C8325薬剤耐性菌および薬剤耐性化機構について概説できる。
E2721主要な抗菌薬の耐性獲得機構および耐性菌出現への対応を説明できる。
No. 3
講義項目
化学療法薬各論(抗真菌薬)
担当者
小山 信裕
開講日
2020-05-25
到達目標・学習方法・内容
代表的な抗真菌薬を列挙し、基本構造、作用機序、生物活性、主な副作用について説明できる。
SBO
C8341真菌の性状を概説できる。
C8428真菌(アスペルギルス、クリプトコックス、カンジダ、ムーコル、白癬菌など)について概説できる。
E2751抗真菌薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。
No. 4
講義項目
化学療法薬各論(抗ウイルス薬)
担当者
小山 信裕
開講日
2020-06-01
到達目標・学習方法・内容
代表的な抗ウイルス薬を列挙し、基本構造、作用機序、生物活性、主な副作用について説明できる。
SBO
C8421DNAウイルス(ヒトヘルペスウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、B型肝炎ウイルスなど)について概説できる。
C8422RNAウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、日本脳炎ウイルス、狂犬病ウイルス、ムンプスウイルス、HIV、HTLVなど)について概説できる。
E2741ヘルペスウイルス感染症(単純ヘルペス、水痘・帯状疱疹)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、予防方法および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
E2742サイトメガロウイルス感染症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
E2743インフルエンザについて、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、感染経路と予防方法および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
E2744ウイルス性肝炎(HAV、HBV、HCV)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、感染経路と予防方法および病態(病態生理(急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん)、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。(重複)
E2745後天性免疫不全症候群(AIDS)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、感染経路と予防方法および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。
No. 5
講義項目
化学療法薬各論(抗MRSA薬、抗ヘリコバクター・ピロリ薬、抗寄生虫薬)
担当者
小山 信裕
開講日
2020-06-08
到達目標・学習方法・内容
代表的な抗MRSA薬、抗ヘリコバクター・ピロリ薬や抗寄生虫薬を列挙し、基本構造、作用機序、生物活性、主な副作用について説明できる。
SBO
C8325薬剤耐性菌および薬剤耐性化機構について概説できる。
C8342原虫および蠕虫の性状を概説できる。
C8429原虫(マラリア原虫、トキソプラズマ、腟トリコモナス、クリプトスポリジウム、赤痢アメーバなど)、蠕虫(回虫、鞭虫、アニサキス、エキノコックスなど)について概説できる。
E2732以下の消化器感染症について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 急性虫垂炎、胆囊炎、胆管炎、病原性大腸菌感染症、食中毒、ヘリコバクター・ピロリ感染症、赤痢、コレラ、腸チフス、パラチフス、偽膜性大腸炎
E2739以下の薬剤耐性菌による院内感染について、感染経路と予防方法、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 MRSA、VRE、セラチア、緑膿菌等
E2761以下の原虫感染症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 マラリア、トキソプラズマ症、トリコモナス症、アメーバ赤痢
E2762以下の寄生虫感染症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 回虫症、蟯虫症、アニサキス症
No. 6
講義項目
がん化学療法薬各論(アルキル化薬、代謝拮抗薬)
担当者
小林 啓介
開講日
2020-06-15
到達目標・学習方法・内容
がん(悪性腫瘍) の病態、症状、治療について概説できる。代表的なアルキル化薬や代謝拮抗薬を列挙し、作用機序、主な副作用について説明できる。
SBO
C4361DNAと結合する医薬品(アルキル化剤、シスプラチン類)を列挙し、それらの化学構造と反応機構を説明できる。
C4362DNAにインターカレートする医薬品を列挙し、それらの構造上の特徴を説明できる。
C4363DNA鎖を切断する医薬品を列挙し、それらの構造上の特徴を説明できる。
E2771腫瘍の定義(良性腫瘍と悪性腫瘍の違い)を説明できる。
E2773悪性腫瘍の治療における薬物治療の位置づけを概説できる。
E2781以下の抗悪性腫瘍薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる。 アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、微小管阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、抗腫瘍ホルモン関連薬、白金製剤、分子標的治療薬、その他の抗悪性腫瘍薬
No. 7
講義項目
がん化学療法薬各論(抗腫瘍性抗生物質、植物成分、白金錯体)
担当者
小林 啓介
開講日
2020-06-22
到達目標・学習方法・内容
代表的な抗腫瘍性抗生物質、植物由来抗がん薬及び白金錯体を列挙し、基本構造、作用機序、主な副作用について説明できる。
SBO
E2781以下の抗悪性腫瘍薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる。 アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、微小管阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、抗腫瘍ホルモン関連薬、白金製剤、分子標的治療薬、その他の抗悪性腫瘍薬
No. 8
講義項目
がん化学療法薬各論(ホルモン関連薬、サイトカイン関連薬、分子標的治療薬)
担当者
大手 聡
開講日
2020-06-29
到達目標・学習方法・内容
代表的なホルモン関連薬、サイトカイン関連薬、分子標的薬を列挙し、作用機序、主な副作用について説明できる。
SBO
E2781以下の抗悪性腫瘍薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる。 アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、微小管阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、抗腫瘍ホルモン関連薬、白金製剤、分子標的治療薬、その他の抗悪性腫瘍薬
No. 9
講義項目
がん化学療法薬各論(分子標的治療薬、副作用と耐性化獲得機構)
担当者
大手 聡
開講日
2020-07-06
到達目標・学習方法・内容
代表的な分子標的治療薬を挙げ、作用機序、主な副作用について説明できる。主要な抗悪性腫瘍薬に対する耐性獲得機構を説明できる.主要な抗悪性腫瘍薬の主な副作用を列挙し,その症状を説明できる.副作用軽減のための対処法を説明できる.
SBO
E2781以下の抗悪性腫瘍薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる。 アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、微小管阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、抗腫瘍ホルモン関連薬、白金製剤、分子標的治療薬、その他の抗悪性腫瘍薬
E2782抗悪性腫瘍薬に対する耐性獲得機構を説明できる。
E2783抗悪性腫瘍薬の主な副作用(下痢、悪心・嘔吐、白血球減少、皮膚障害(手足症候群を含む)、血小板減少等)の軽減のための対処法を説明できる。
No. 10
講義項目
微生物が生み出す医薬品・天然由来化学療法薬の生合成
担当者
供田 洋
開講日
2020-07-13
到達目標・学習方法・内容
抗生物質以外の微生物由来の医薬品について概説できる。代表的な天然由来の化学療法薬の構造を生合成経路に基づいて説明できる。
SBO
C5221微生物由来の生物活性物質を化学構造に基づいて分類できる。
C5222微生物由来の代表的な生物活性物質を列挙し、その作用を説明できる。
C5241医薬品として使われている代表的な天然生物活性物質を列挙し、その用途を説明できる。
C5242天然生物活性物質を基に化学修飾等により開発された代表的な医薬品を列挙し、その用途、リード化合物を説明できる。
C5243農薬や香粧品などとして使われている代表的な天然生物活性物質を列挙し、その用途を説明できる。
No. 11
講義項目
予備日
担当者
開講日
2020-07-20
到達目標・学習方法・内容
SBO

評価方法

定期試験定期試験結果(100%)により評価する。
授業 
その他

学生へのメッセージ

化学療法学IIでは、現在臨床で使用されている真菌、ウィルスや寄生虫による感染症と、がんに対する化学療法を下記の教科書や配布プリントを用いて解説するので、その化学構造や作用機序、副作用などについて理解してほしい。

準備学習(予習・復習)・その他

1【授業時間外に必要な学習の時間:30時間】
2予習:各講義項目ごとに対応する教科書の範囲を必ず熟読しておく。
復習:配布されたプリントの内容を教科書と照らしあわせ、さらに理解を深めること。授業ごとに指示された他の科目(生化学、細胞生物学、微生物系や生薬学など)との関連を確認し、理解を深めること。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書化学療法学ー病原微生物・がんと戦う大村 智 監修 供田 洋・黒田照夫 編集南江堂
参考書化学系薬学Ⅲ.自然が生み出す薬物日本薬学会編東京化学同人
参考書第16 改正 日本薬局方解説書廣川書店 
教科書
署名
化学療法学ー病原微生物・がんと戦う
著者・編者
大村 智 監修 供田 洋・黒田照夫 編集
発行所
南江堂
参考書
署名
化学系薬学Ⅲ.自然が生み出す薬物
著者・編者
日本薬学会編
発行所
東京化学同人
参考書
署名
第16 改正 日本薬局方解説書
著者・編者
廣川書店
発行所