科目名 | : | 化学療法学Ⅱ |
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英文名 | : | Chemotherapy Ⅱ |
科目概要 | : | 薬・創薬, 3年, 前期, 必修, 1単位 A, B, C, D, S, 月曜日5時限, 2202大講義室 3202講義室 |
科目責任者 | : | 大城 太一 (微生物薬品製造学・教授) |
担当者 | : | 大城 太一 (微生物薬品製造学・教授), 大手 聡 (微生物薬品製造学・講師) |
備考 | : | 〔科目ナンバリング:PP301-BI03, PL301-BI03〕 |
真菌、ウイルスと寄生虫による感染症及びがん(悪性腫瘍)に対する薬物療法を科学的に理解するために、化学療法薬の基本化学構造、作用機序、生物活性、副作用に関する基本的知識を修得する。
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の薬学科①、生命創薬科学科①に関連する。
微生物を含む天然資源から発見された医薬品やそのリードについて講義する。化学療法学IIでは、抗真菌薬、抗MRSA薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、抗ヘリコバクター・ピロリ薬や抗悪性腫瘍薬を中心に説明する。
パワーポイントと配布資料を用いて講義を進める。適宜課題を与え(指定された日時までに提出)、提出日後の講義で解説を配布するとともに、課題の中の特徴的な見解や誤解について解説を行なう。対面授業にて実施する。
No. | 講義項目 | 担当者 | 開講日 | 到達目標・学習方法・内容 | SBO |
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1 | 天然資源創薬の概論 | 大城 太一 | 4月11日 | 創薬資源としての微生物の有用性を説明できる。抗菌物質以外の微生物由来の医薬品について説明できる。 [予習] 事前に教科書の関連する章を読んでおく [復習] 講義で使用した配布資料を整理する | |
2 | 化学療法薬各論(抗真菌薬) | 大手 聡 | 4月18日 | 代表的な抗真菌薬を列挙し、基本構造、作用機序、生物活性、主な副作用について説明できる。 [予習] 事前に教科書の関連する章を読んでおく [復習] 講義で使用した配布資料を整理する | |
3 | 化学療法薬各論(抗ウイルス薬) | 大手 聡 | 4月25日 | 代表的な抗ウイルス薬を列挙し、基本構造、作用機序、生物活性、主な副作用について説明できる。 [予習] 事前に教科書の関連する章を読んでおく [復習] 講義で使用した配布資料を整理する | |
4 | 化学療法薬各論(抗MRSA薬、抗ヘリコバクター・ピロリ薬、抗寄生虫薬)と化学療法薬耐性 | 大手 聡 | 5月9日 | 代表的な抗MRSA薬、抗ヘリコバクター・ピロリ薬や抗寄生虫薬を列挙し、基本構造、作用機序、生物活性、主な副作用について説明できる。化学療法薬に対する耐性機構について説明できる。 [予習] 事前に教科書の関連する章を読んでおく [復習] 講義で使用した配布資料を整理する | |
5 | がん化学療法総論と各論(ホルモン関連薬、サイトカイン関連薬) | 大城 太一 | 5月16日 | がん(悪性腫瘍)の病態、症状、治療について概説できる。がんの治療における薬物療法の位置づけを説明できる。 代表的なホルモン関連薬、サイトカイン関連薬を列挙し、基本構造、作用機序、主な副作用について説明できる。 [予習] 事前に教科書の関連する章を読んでおく [復習] 講義で使用した配布資料を整理する | |
6 | がん化学療法薬各論(アルキル化薬、代謝拮抗薬) | 大城 太一 | 5月23日 | 代表的なアルキル化薬や代謝拮抗薬を列挙し、基本構造、作用機序、主な副作用について説明できる。 [予習] 事前に教科書の関連する章を読んでおく [復習] 講義で使用した配布資料を整理する | |
7 | がん化学療法薬各論(抗腫瘍性抗生物質、植物成分、白金錯体) | 大城 太一 | 5月30日 | 代表的な抗腫瘍性抗生物質、植物由来抗悪性腫瘍薬及び白金錯体を列挙し、基本構造、作用機序、主な副作用について説明できる。 [予習] 事前に教科書の関連する章を読んでおく [復習] 講義で使用した配布資料を整理する | |
8 | がん化学療法薬各論(分子標的薬(低分子化合物)) | 大城 太一 | 6月6日 | 代表的な分子標的薬(低分子化合物)を列挙し、基本構造、作用機序、主な副作用について説明できる。 [予習] 事前に教科書の関連する章を読んでおく [復習] 講義で使用した配布資料を整理する | |
9 | がん化学療法薬各論(分子標的薬(抗体薬)) | 大城 太一 | 6月13日 | 代表的な分子標的薬(抗体薬)を列挙し、基本構造、作用機序、主な副作用について説明できる。 [予習] 事前に教科書の関連する章を読んでおく [復習] 講義で使用した配布資料を整理する | |
10 | 微生物が生み出す医薬品と生合成 | 大城 太一 | 6月20日 | 抗生物質以外の微生物由来の医薬品について概説できる。代表的な天然由来の化学療法薬の構造を生合成経路に基づいて説明できる。 [予習] 事前に教科書の関連する章を読んでおく [復習] 講義で使用した配布資料を整理する | |
11 | 予備日 | 6月27日 |
C5 | 2 | 2 | 1 | 微生物由来の生物活性物質を化学構造に基づいて分類できる。 |
C5 | 2 | 2 | 2 | 微生物由来の代表的な生物活性物質を列挙し、その作用を説明できる。 |
C5 | 2 | 4 | 1 | 医薬品として使われている代表的な天然生物活性物質を列挙し、その用途を説明できる。 |
C5 | 2 | 4 | 2 | 天然生物活性物質を基に化学修飾等により開発された代表的な医薬品を列挙し、その用途、リード化合物を説明できる。 |
C5 | 2 | 4 | 3 | 農薬や香粧品などとして使われている代表的な天然生物活性物質を列挙し、その用途を説明できる。 |
C8 | 3 | 4 | 1 | 真菌の性状を概説できる。 |
C8 | 4 | 2 | 8 | 真菌(アスペルギルス、クリプトコックス、カンジダ、ムーコル、白癬菌など)について概説できる。 |
E2 | 7 | 5 | 1 | 抗真菌薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)および臨床適用を説明できる。 |
C8 | 4 | 2 | 1 | DNAウイルス(ヒトヘルペスウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、B型肝炎ウイルスなど)について概説できる。 |
C8 | 4 | 2 | 2 | RNAウイルス(ノロウイルス、ロタウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、日本脳炎ウイルス、狂犬病ウイルス、ムンプスウイルス、HIV、HTLVなど)について概説できる。 |
E2 | 7 | 4 | 1 | ヘルペスウイルス感染症(単純ヘルペス、水痘・帯状疱疹)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、予防方法および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 |
E2 | 7 | 4 | 2 | サイトメガロウイルス感染症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 |
E2 | 7 | 4 | 3 | インフルエンザについて、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、感染経路と予防方法および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 |
E2 | 7 | 4 | 4 | ウイルス性肝炎(HAV、HBV、HCV)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、感染経路と予防方法および病態(病態生理(急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん)、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。(重複) |
E2 | 7 | 4 | 5 | 後天性免疫不全症候群(AIDS)について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、感染経路と予防方法および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 |
C8 | 3 | 2 | 5 | 薬剤耐性菌および薬剤耐性化機構について概説できる。 |
C8 | 3 | 4 | 2 | 原虫および蠕虫の性状を概説できる。 |
C8 | 4 | 2 | 9 | 原虫(マラリア原虫、トキソプラズマ、腟トリコモナス、クリプトスポリジウム、赤痢アメーバなど)、蠕虫(回虫、鞭虫、アニサキス、エキノコックスなど)について概説できる。 |
E2 | 7 | 2 | 1 | 主要な抗菌薬の耐性獲得機構および耐性菌出現への対応を説明できる。 |
E2 | 7 | 3 | 2 | 以下の消化器感染症について、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 急性虫垂炎、胆囊炎、胆管炎、病原性大腸菌感染症、食中毒、ヘリコバクター・ピロリ感染症、赤痢、コレラ、腸チフス、パラチフス、偽膜性大腸炎 |
E2 | 7 | 3 | 9 | 以下の薬剤耐性菌による院内感染について、感染経路と予防方法、病態(病態生理、症状等)および薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 MRSA、VRE、セラチア、緑膿菌等 |
E2 | 7 | 6 | 1 | 以下の原虫感染症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 マラリア、トキソプラズマ症、トリコモナス症、アメーバ赤痢 |
E2 | 7 | 6 | 2 | 以下の寄生虫感染症について、治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)、および病態(病態生理、症状等)・薬物治療(医薬品の選択等)を説明できる。 回虫症、蟯虫症、アニサキス症 |
E2 | 7 | 8 | 1 | 以下の抗悪性腫瘍薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる。 アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、微小管阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、抗腫瘍ホルモン関連薬、白金製剤、分子標的治療薬、その他の抗悪性腫瘍薬 |
E2 | 7 | 8 | 2 | 抗悪性腫瘍薬に対する耐性獲得機構を説明できる。 |
E2 | 7 | 8 | 3 | 抗悪性腫瘍薬の主な副作用(下痢、悪心・嘔吐、白血球減少、皮膚障害(手足症候群を含む)、血小板減少等)の軽減のための対処法を説明できる。 |
C4 | 3 | 6 | 1 | DNAと結合する医薬品(アルキル化剤、シスプラチン類)を列挙し、それらの化学構造と反応機構を説明できる。 |
C4 | 3 | 6 | 2 | DNAにインターカレートする医薬品を列挙し、それらの構造上の特徴を説明できる。 |
C4 | 3 | 6 | 3 | DNA鎖を切断する医薬品を列挙し、それらの構造上の特徴を説明できる。 |
E2 | 7 | 7 | 1 | 腫瘍の定義(良性腫瘍と悪性腫瘍の違い)を説明できる。 |
E2 | 7 | 7 | 3 | 悪性腫瘍の治療における薬物治療の位置づけを概説できる。 |
E2 | 7 | 8 | 1 | 以下の抗悪性腫瘍薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる。 アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、微小管阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、抗腫瘍ホルモン関連薬、白金製剤、分子標的治療薬、その他の抗悪性腫瘍薬 |
E2 | 7 | 8 | 1 | 以下の抗悪性腫瘍薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる。 アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、微小管阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、抗腫瘍ホルモン関連薬、白金製剤、分子標的治療薬、その他の抗悪性腫瘍薬 |
E2 | 7 | 8 | 1 | 以下の抗悪性腫瘍薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる。 アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、微小管阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、抗腫瘍ホルモン関連薬、白金製剤、分子標的治療薬、その他の抗悪性腫瘍薬 |
E2 | 7 | 8 | 1 | 以下の抗悪性腫瘍薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用、相互作用、組織移行性)および臨床適用を説明できる。 アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、微小管阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、抗腫瘍ホルモン関連薬、白金製剤、分子標的治療薬、その他の抗悪性腫瘍薬 |
C5 | 2 | 2 | 1 | 微生物由来の生物活性物質を化学構造に基づいて分類できる。 |
C5 | 2 | 2 | 2 | 微生物由来の代表的な生物活性物質を列挙し、その作用を説明できる。 |
C5 | 2 | 4 | 1 | 医薬品として使われている代表的な天然生物活性物質を列挙し、その用途を説明できる。 |
C5 | 2 | 4 | 2 | 天然生物活性物質を基に化学修飾等により開発された代表的な医薬品を列挙し、その用途、リード化合物を説明できる。 |
C5 | 2 | 4 | 3 | 農薬や香粧品などとして使われている代表的な天然生物活性物質を列挙し、その用途を説明できる。 |
定期試験 | 定期試験結果(100%)により評価する。 |
授業 | |
その他 |
化学療法学IIでは、現在臨床で使用されている真菌、ウイルスや寄生虫による感染症と、がんに対する化学療法を下記の教科書や配布プリントを用いて解説するので、その基本化学構造や作用機序、副作用などについて理解してほしい。
1 | 【授業時間外に必要な学習の時間:30時間】 |
2 | 予習:各講義項目ごとに対応する教科書の範囲を必ず熟読しておく。 復習:配布されたプリントの内容を教科書と照らしあわせ、さらに理解を深めること。授業ごとに指示された他の科目(生化学、細胞生物学、微生物系や生薬学など)との関連を確認し、理解を深めること。 |
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 化学療法学改訂第2版ー病原微生物・がんと戦う | 大村 智 監修 供田 洋・黒田照夫 編集 | 南江堂 |
参考書 | 化学系薬学Ⅲ.自然が生み出す薬物 | 日本薬学会編 | 東京化学同人 |
参考書 | 第18 改正 日本薬局方解説書 | 廣川書店 |