科目名 | : | 医薬品情報学 |
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英文名 | : | Drug Information |
科目概要 | : | 薬・創薬, 4年, 前期, 必修・選択, 1単位 A, B, C, D, S, 金曜日3時限, 2301大講義室 |
科目責任者 | : | 岩澤 真紀子 (医薬品情報学・准教授) |
担当者 | : | 岩澤 真紀子※(医薬品情報学・准教授)、前田 実花※(臨床薬剤疫学・講師)、本間 雅士※(北里大学病院) |
備考 | : | NR・サプリメントアドバイザー養成講座対応科目 実務経験のある教員による授業科目(担当者に付されている※印は実務経験のある教員を表す) 〔科目ナンバリング:PP301-CP04, PL301-CP04〕 |
医療現場で薬剤師は、医療従事者や患者・消費者等から医薬品に関する数多くの質問を受ける。医薬品に関わる情報を正しく使い、最適な薬物療法の提供、副作用の防止に貢献することは、薬剤師の重要な役割の一つである。
本講義では、医薬品のライフサイクル(開発から臨床使用)において発生する情報の種類・特徴および規制・制度を学び、医薬品の情報を適切に収集・加工・提供・評価・活用するための基本的知識を修得する。さらに、医薬品情報を分析・評価するために必要な能力を身につける。
科目の位置づけ:臨床薬学系専門科目
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の薬学科④⑤、生命創薬科学科①③に関連する。
この科目では、医薬品のライフサイクルにおいて発生する情報と種々の規制・制度、医療情報を調査する際に必要な様々な情報源の特徴と使い方について講義する。さらに、医薬品情報を分析・評価するために、根拠に基づいた医療(EBM)の概念、研究デザインの種類、医学論文を読む際に必要な知識について説明する。
A:医薬品のライフサイクルにおいて発生する情報の種類を挙げ、その特徴および規制・制度、国内外の医薬品開発の動向を理解し、説明できる。
B:医薬品情報の情報源について、その特徴、位置づけ、情報源の評価について説明することができる。
C:医療に関わるインターネット上の情報について、その作成機関や背景を確認した上で、適切に使用することができる。
D:医学・薬学文献データベースの特徴、検索におけるシソーラスの役割を理解し、適切に検索することができる。
E:調査目的(効能・効果、有効性、安全性(副作用)、相互作用、妊婦への投与、中毒等)に適した情報源を選択し、適切な検索の手法を用いて必要な情報を収集することができる。
F:根拠に基づいた医療(EBM)の概念、研究デザインの種類について理解し、臨床研究論文を批判的に吟味して結果を適切に解釈することができる。
G:調査目的に対して収集した情報を、そのエビデンスの質や、信頼性、妥当性に配慮しながら解析・評価・比較し、その情報を使う対象を考慮して活用することができる。
H:守秘義務と個人情報保護に配慮した患者情報管理の重要性について理解し、説明することができる。
パワーポイントと配布資料を用い講義形式ですすめる。小テストおよび課題を提示する。Google Formを用いて実施する小テストについては、スコアを次回の講義までにフィードバックする。
提出課題については、解答が必要なものについては次回の講義で説明する。自由課題については、次回の講義までに正答を授業のホームページに掲載する。
履修者は対面授業を受講する。
No. | 講義項目 | 担当者 | 開講日 | 授業内容・方法 |
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1 | 医療と医薬品情報 | 岩澤 真紀子 | 4月11日③ | 医療における医薬品情報業務の必要性と概要について学ぶ。 医薬品情報に関わっている職種とその役割を学ぶ。 薬剤師の役割とDI業務の重要性について学ぶ。 病院における主な能動的情報提供法と受動的情報提供法について学ぶ。 医薬品情報に関する知的所有権、守秘義務、個人情報保護について学ぶ。 【予習】本講義のシラバスを読み、理解しておくこと。 【復習】配布資料と講義内容を復習し、まとめること。医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページ(HP)を確認し、入手できる情報源について確認すること。 【到達目標】B、E、Hに関連する。 |
2 | 医薬品情報の発生と伝達 | 岩澤 真紀子 | 4月18日③ | 医薬品の開発から市販後調査までのライフサイクルにおいて収集される情報とその伝達のされ方、これらに関連する薬事制度を学ぶ。 市販後の医薬品安全性監視の制度と提供される情報源を学ぶ。 レギュラトリーサイエンスの定義と薬剤師との関わりについて学ぶ。 【予習】本講義のシラバスを読み、理解しておくこと。 【復習】配布資料と講義内容を復習し、まとめること。医薬品研究開発および市販後調査に関する内容について、参考書を読み理解を深めること。 【到達目標】A、B、Cに関連する。 |
3 | 医薬品添付文書の見方・読み方 | 岩澤 真紀子 | 4月25日③ | 医薬品添付文書の法的位置づけを理解し、記載項目とその内容、添付文書に特異的な用語の意味を学ぶ。 【予習】本講義のシラバスを読み、理解しておくこと。PMDAのHPを確認し、医薬品添付文書の入手方法を確認しておくこと。 【復習】配布資料と講義内容を復習し、まとめること。授業用サイトにある参考資料を読み、理解しておくこと。 【到達目標】B、Eに関連する。 |
4 | 医薬品インタビューフォームの見方・読み方、医薬品の安全性情報 | 岩澤 真紀子 | 5月9日③ | 医薬品インタビューフォームの医薬品情報源における位置づけと利用方法を学ぶ。 インタビューフォームの項目や用途について、添付文書との違いを学ぶ。 過去に出された緊急安全性情報および安全性速報について、該当薬剤と内容を学ぶ。 副作用の因果関係を評価するための方法について学ぶ。 【予習】本講義のシラバスを読み、理解しておくこと。PMDAのHPを確認し、医薬品インタビューフォーム、緊急安全性情報、安全性速報の入手方法を確認しておくこと。 【復習】配布資料と講義内容を復習し、まとめること。過去の緊急安全性情報および安全性速報について、内容を理解しておくこと。 【到達目標】B、Eに関連する。 |
5 | 医薬品情報の主な情報源と収集・検索 | 岩澤 真紀子 | 5月16日③ | 医薬品情報源の加工度による種類の違いと使い分けを学ぶ。 また、代表的な医薬品情報源を列挙し、それぞれの特徴について学ぶ。 データベース検索におけるキーワード、シソーラスの重要性を理解し、代表的な医薬品情報源の基本的な探索方法について学ぶ。 【予習】本講義のシラバスを読み、理解しておくこと。医中誌WebおよびPubMedの検索方法を復習しておくこと。 【復習】配布資料と講義内容を復習し、まとめること。講義内で解説する情報源について確認すること。 【到達目標】B、D、Eに関連する。 |
6 | スペシャルポピュレーション(高齢者、妊婦・授乳婦、小児)と医薬品情報 | 岩澤 真紀子 | 5月23日③ | スペシャルポピュレーションの薬物治療に関連する問題点について学ぶ。 スペシャルポピュレーションに関する代表的な医薬品情報源を列挙し、それぞれの特徴について学ぶ。 【予習】本講義のシラバスを読み、理解しておくこと。 【復習】配布資料と講義内容を復習し、課題を行うこと。講義内で解説する情報源について確認すること。 【到達目標】B、C、Eに関連する。 |
7 | 病院薬剤師と医薬品情報 | 本間 雅士 | 5月30日③ | 病院における医薬品情報管理業務について学ぶ。 薬剤師による医薬品情報活用の実践について学ぶ。 質疑内容の種類に応じて利用する情報源の違いを学ぶ。 医療現場において医薬品情報を加工・提供する際の方法と注意点(知的所有権、守秘義務等)について学ぶ。 【予習】本講義のシラバスを読み、理解しておくこと。 【復習】配布資料と講義内容を復習し、まとめること。 【到達目標】B、C、D、E、Hに関連する。 |
8 | 薬剤疫学研究と医薬品情報 | 前田 実花 | 6月6日③ | 薬剤疫学研究の定義と結果の解釈について学ぶ。 代表的な臨床研究法の長所と短所を挙げ、それらのエビデンスレベルについて学ぶ。 臨床適応上の効果指標(オッズ比、治療必要数、相対リスク等)について学ぶ。 【予習】本講義のシラバスを読み、理解しておくこと。 【復習】配布資料と講義内容を復習し、課題を行うこと。第10回の講義内で課題の解説をする。 【到達目標】F、Gに関連する。 |
9 | インターネットを活用した情報検索と診療ガイドライン | 岩澤 真紀子 | 6月13日③ | インターネット上の代表的な医薬品情報源とその特徴、ヘルスリテラシーについて学ぶ。 診療ガイドラインの利用法と信頼できる診療ガイドラインの作成方法および作成基準について学ぶ。 臨床研究論文の批判的吟味に必要な基本的項目について学ぶ。 【予習】本講義のシラバスを読み、理解しておくこと。事前課題を行うこと。 【復習】配布資料と講義内容を復習し、まとめること。講義内で解説する情報源について確認すること。 【到達目標】B、C、Eに関連する。 |
10 | EBMと医薬品情報の評価 | 前田 実花 | 6月20日③ | メタアナリシスの概念を理解し、結果の解釈について学ぶ。 EBMの基本概念と有用性について学ぶ。 EBM実践のプロセス及び内的妥当性と外的妥当性について学ぶ。 真のアウトカムと代用のアウトカムの違いを学ぶ。 【予習】本講義のシラバスを読み、理解しておくこと。第8回の講義および課題について理解しておくこと。 【復習】配布資料と講義内容を復習し、まとめること。 【到達目標】F、Gに関連する。 |
定期試験 | 定期試験の成績(100%)で評価する。 |
授業 | 受講態度、小テストの成績、課題の提出も参考にする。 |
その他 | オフィスアワー:原則金曜日(講義担当日)の15~17時。各担当者に事前にメールでアポイントを取ることが望ましい。 |
医薬品情報は日々アップデートされます。講義内容を覚えるだけでなく、常に自分で最新情報を確認する習慣をつけてください。
授業内では、医薬品情報に関連する専門用語が数多く出てきます。初めて聞いた用語は復習してください。
医療現場で薬剤師は、必要な情報を見極め、薬に関する情報を的確・迅速に情報提供するスキルが求められます。
講義で取り上げる内容は、薬剤師として必要な情報のごく一部でしかありません。
講義毎の情報量が多くなりますので、しっかり準備学習をしましょう。
1 | 【授業時間外に必要な学習の時間:30時間】 |
2 | 参考書などを熟読し、講義に出席すること。 配布した資料をよく復習し、わからない点があったら授業後に積極的に質問に来ること。 医薬品情報源については、情報源の画像を配布資料に鮮明に印刷することが難しいことから、授業内で紹介するウェブサイトや書籍等については、各自で確認すること。 講義内に出された課題については、期限までに終わらせること。 |
3 | 【実務経験のある教員による授業】(※印の付された担当者) 担当者全員が北里大学病院に薬剤師として勤務している。DI室で汎用する情報源や質疑応答例を講義に取り入れている。 |
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 講義プリント | ||
参考書 | 医薬品情報学 第5版 | 山崎 幹夫 監修 | 東京大学出版会 |
参考書 | 医薬品情報学 (Crosslink 薬学テキスト) | 真野 康成 編集 | メジカルビュー社 |
参考書 | コンパス医薬品情報学-理論と演習- 改訂第3版 | 小林 道也、中村 仁 編集 | 南江堂 |
参考書 | これからのヘルスリテラシー | 中山 和弘 | 講談社 |
参考書 | 診療ガイドラインのためのGRADEシステム 第3版 | 相原 守夫 著 | 中外医学社 |
参考書 | 医薬品情報学 第2版 | 上村 直樹、下平 秀夫 | 化学同人 |
参考書 | 臨床研究の教科書-研究デザインとデータ処理のポイント 第2版 | 川村 孝 著 | 医学書院 |
参考書 | 薬剤疫学の基礎と実践 改訂第3版 | 景山 茂、久保田 潔 編集 | ライフサイエンス出版 |