科目名 | : | 医薬品化学 |
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英文名 | : | Medicinal Chemistry |
科目概要 | : | 薬・創薬, 4年, 前期, 必修・選択, 1単位 A, B, C, D, S, 木曜日2時限, 2301大講義室 |
科目責任者 | : | 牧野 一石 (医薬品化学・教授) |
担当者 | : | 牧野 一石(医薬品化学・教授)、山本 大介(医薬品化学・講師) |
備考 | : | 〔科目ナンバリング:PP301-CH04, PL301-CH04〕 |
日本薬局方医薬品はその品質を一定の基準に保つため、医薬品の構造、性状、純度などが規定されている。その規定を守るために定められている確認試験は、医薬品の構造に含まれている代表的な官能基、基本骨格を確認するための試験である。本講義では、薬局方に収載されている医薬品の品質を評価できる能力を身につけるために、1年次から3年次までに学んできた有機化学を基に医薬品の純度・確認試験に適用されている基本原理を修得する。また、医薬品の構造を読むことによって、医薬品の物理的、化学的性質および生体内での反応を予想できるように、医薬品に含まれる代表的な構造(官能基)及びその性質を理解する。
科目の位置付け:化学系専門科目
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の薬学科④、生命創薬科学科①に関連する。
医薬品の溶解性などの物性を構造式を見て予想できるように説明する。また、医薬品の研究・開発及びその有効性や安全性の保証のために、薬局方収載の医薬品には確認試験や純度試験などが規定されている。確認試験は目的の化合物を確かめるための定性試験であり、純度試験は医薬品に含まれる不純物の存在限度を規定するものである。これらの試験法は医薬品あるいは不純物の化学構造中に含まれる官能基や基本骨格を化学反応やスペクトル分析により検出するものである。ここでは、化学反応を利用した確認試験および純度試験を説明する。
A:医薬品の性状及び品質の適正化への日本薬局方の役割、特に医薬品の確認試験と純度試験の意義を説明できる。
B:日本薬局方で規定されている代表的な医薬品の確認試験、純度試験の原理を医薬品の構造及び化学反応を基に説明できる。
C:有機化合物である医薬品の物理的性質や化学的性質(酸性・塩基性、親水性・疎水性など)を、その化学構造(官能基)に基づいて説明できる。
D:医薬品の薬理活性発現に必要な特徴的な構造(ファーマコフォア)について説明できる。
配布資料とパワーポイントを用いて講義形式ですすめるが、授業内容の理解を深めるために問題演習も行う。出席の確認および授業中の問題の解答にスマートフォンを利用する。授業中の問題については、その場で解説する。
課題(宿題)の模範解答については、次回の授業の時に解答ならびに解説をプリントしたものを配布する。質問は常時受け付ける(メール対応可)。対面講義として実施する。
No. | 講義項目 | 担当者 | 開講日 | 授業内容・方法 |
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1 | コレステロール及びステロイドホルモンの生合成 | 牧野 一石 | 4月10日② | コレステロールや胆汁酸、ビタミンD誘導体、ステロイドホルモン(プロゲステロン、鉱質コルチコイド、糖質コルチコイド、アンドロゲン、エストロゲン)の生合成経路と構造的な特徴について、体系的に学ぶ。【予習】事前にシラバスと講義資料に目を通しておく。【復習】課題を行ない、コレステロールや胆汁酸、ビタミンD誘導体、ステロイドホルモンの生合成経路ならびにそれらの化学構造について理解を深める。【到達目標】A、B、Cに関連する。 |
2 | ステロイドアナログ医薬品 | 牧野 一石 | 4月17日② | ステロイド骨格を有する医薬品の化学構造を列挙し、それらの分子レベルにおける作用機序と構造的な特徴について、体系的に学ぶ。【予習】事前にシラバスと講義資料に目を通しておく。【復習】課題を行ない、ステロイド骨格を有する医薬品の化学構造について理解を深める。【到達目標】A、B、Cに関連する。 |
3 | 循環器系に作用する薬物 | 牧野 一石 | 4月24日② | 循環器系に作用する医薬品(カルシウムチャネル遮断薬,レニン・アンジオテンシン系降圧薬)の化学構造を列挙し、それらの分子レベルにおける作用機序と構造的な特徴について、体系的に学ぶ。【予習】事前にシラバスと講義資料に目を通しておく。【復習】課題を行ない、循環器系に作用する医薬品の化学構造について理解を深める。【到達目標】A、B、Cに関連する。 |
4 | 生体無機化合物 | 牧野 一石 | 5月8日② | 生体内における無機化合物および金属錯体の構造を列挙し、それらの分子レベルにおける作用機序と構造的な特徴について、体系的に学ぶ。【予習】事前にシラバスと講義資料に目を通しておく。【復習】課題を行ない、無機化合物および金属錯体の構造とその機能について理解を深める。 |
5 | 無機医薬品と定性試験 | 牧野 一石 | 5月15日② | 無機医薬品の化学構造を列挙し、それらの分子レベルにおける作用機序と構造的な特徴および化学的性質について、体系的に学ぶ。【予習】事前にシラバスと講義資料に目を通しておく。【復習】課題を行ない、無機医薬品の化学構造とその機能について理解を深める。【到達目標】A、B、Cに関連する |
6 | 確認試験・純度試験 医薬品の化学構造に基づく性質 ① | 山本 大介 | 5月22日② | 薬局方における確認試験及び純度試験の意義と概要を学ぶ。 医薬品の構造からその物理化学的性質(酸性、塩基性、疎水性、親水性など)を学ぶ。 【予習】シラバスと教科書および講義資料の該当ページに目を通しておく。 【復習】課題を行ない、医薬品の確認試験および純度試験について理解を深める。 【到達目標】A、B、Cに関連する。 |
7 | 官能基の特性に基づく確認・純度試験 ① | 山本 大介 | 5月29日② | 酸塩基反応(カルボニル化合物、カルボン酸誘導体、エステル、アミン、アミドなど)を利用する確認・純度試験を学ぶ。 【予習】シラバスと教科書および講義資料の該当ページに目を通しておく。 【復習】課題を行ない、酸・塩基反応、及び各種アミンと亜硝酸との反応を整理する。また、芳香属性について理解する。 【到達目標】B、Cに関連する。 |
8 | 官能基の特性に基づく確認・純度試験 ② | 山本 大介 | 6月5日② | 呈色反応(塩化鉄(III)、硫酸銅などとの反応、ニンヒドリン反応、炎色反応、臭素付加反応、ヨードホルム反応など)を利用する確認・純度試験を学ぶ。 【予習】シラバスと教科書および講義資料の該当ページに目を通しておく。 【復習】課題を行ない、各種呈色試薬と特異的に反応する構造を整理する。 【到達目標】B、Cに関連する。 |
9 | 医薬品の基本骨格の特性に基づく確認・純度試験 | 山本 大介 | 6月12日② | 基本骨格(ピリジン、キサンチンなど)の特性に基づく確認・純度試験を学ぶ。 【予習】シラバスと教科書および講義資料の該当ページに目を通しておく。 【復習】課題を行ない、各種呈色試薬と特異的に反応する構造(複素環骨格)を整理する。 【到達目標】B、Cに関連する。 |
10 | 医薬品の化学構造に基づく性質 ② | 山本 大介 | 6月19日② | 医薬品のコンポーネントとして、ファーマコフォアおよびバイオアイソスターについて学ぶ。さらに、生体内で起こる薬剤の変化について学ぶ。また、化合物の変化などについて、NMR(核磁気共鳴)スペクトルを利用して理解する。 【予習】シラバスと教科書および講義資料の該当ページに目を通しておく。 【復習】課題を行ない、医薬品のファーマコフォアおよびバイオアイソスターの概念を理解する。 【到達目標】C、Dに関連する。 |
定期試験 | 講義内容及び課題の問題から出題する。マークシート形式、持込不可。 |
授業 | 授業回数10回+定期試験 出席確認および講義中の問題解答にGoogleフォームを使用する(受講態度の評価対象とするので、積極的に取り組むこと)。 |
その他 | 受講態度(10%)、演習課題の提出状況(10%)及び定期試験(80%)により評価する。ただし、課題提出は必須とする(未提出の場合は単位を修得できません)。正当な理由が無い欠席、遅刻は減点する。 |
講義中プレゼンテーションツール(Googleフォーム)を使用し、提示された問題(アンケート)を解答(回答)してもらい、全体の理解度を確認しながら進めます。また、課題問題を解くことによって知識の定着のほか、共用試験対策にもなるので、積極的に取り組んでください。質問はいつでも受け付けます(メール可)。
1 | 【授業時間外に必要な学習の時間:30時間】 |
2 | 授業内容に該当する範囲を、指定教科書、配布資料及びソロモンの新有機化学 I /IIを読んでおくこと。 講義内容を十分に理解するために、すでに学んできた有機化学の基礎に関して演習問題を宿題として課する。 復習の方法として、授業中に実施した問題の見直し、講義資料の関連箇所の教科書・参考書を再読すること。 |
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 薬局方試験法 概要と演習 | 梶 英輔 他 共著 | 廣川書店 |
教科書 | 配布資料 | ||
参考書 | スタンダード薬学シリーズ2物理系薬学Ⅱ化学物質の分析 | 日本薬学会 | 東京化学同人 |
参考書 | スタンダード薬学シリーズ3化学系薬学 I 化学物質の性質と反応 | 日本薬学会 | 東京化学同人 |
参考書 | 第17改正日本薬局方解説書 | 廣川書店 | |
参考書 | 化学構造と薬理作用〜医薬品を化学的に読む 第2版 | 柴崎正勝・赤池昭紀・橋田充(監修) | 廣川書店 |
参考書 | 現場で役立つ! 臨床医薬品化学 | 臨床医薬品化学研究会 | 化学同人 |