科目名 | : | 衛生化学Ⅰ |
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英文名 | : | Hygienic Chemistry Ⅰ |
科目概要 | : | 薬・創薬, 3年, 前期, 必修, 1単位 A, B, C, D, S, 月曜日3時限, 2202大講義室 |
科目責任者 | : | 今井 浩孝 (衛生化学・教授) |
担当者 | : | 今井 浩孝(衛生化学・教授)、安田 柊(衛生化学・助教) |
備考 | : | NR・サプリメントアドバイザー養成講座対応科目 健康食品管理士養成講座対応科目 〔科目ナンバリング:PP301-hs03, PL301-hs03〕 |
脂質は多様な分子種を有しており、細胞膜の構成成分だけでなく、脂質メディエーターや栄養素としてのエネルギーの機能をもつことを理解する。
健康を維持するために不可欠な脂質、糖質、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素の役割を科学的に理解するために、主要な栄養素の化学、代謝、生理的役割を知り、さらに栄養の過不足によりもたらされる病気、特に代謝性疾患(生活習慣病)とその薬の標的部位に関する知識を修得する。この内容を修得することで、人の健康の維持・増進における栄養素の役割を把握し、臨床栄養学での疾病の予防や治療における栄養素の摂取法への応用につなげる。
科目の位置付け、生物系専門科目、衛生薬学系専門科目
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の薬学科④、生命創薬科学科①に関連する。
脂質に関しては、その種類、細胞膜脂質、エネルギー、脂質メディエーターがどの分子と関連するのか、その栄養素としての吸収、運搬、代謝を理解する。また、脂質異常症や動脈硬化症などの疾患との関わりについて理解する。
その上で、これまで学習してきた、3大栄養素である糖質、タンパク質の栄養的や役割と脂質とのエネルギー的な相互作用を理解する。また、ビタミン、ミネラルの構造や代謝経路、生理的な機能についての知識を修得する。これらを理解することで、健康の維持、増進のためになぜ栄養素を食品から摂取するのか、その摂取不足や過剰摂取がどのような疾患と密接に関連しているのかについて理解し、疾病予防策を立案できる能力を修得する。
A:健康の維持、増進における糖の摂取後の、消化、吸収、代謝、エネルギー代謝を説明でき、血糖値がどのように維持されているかを理解できる。
B:糖の摂取不足と過剰摂取の際の他の栄養素との相互作用と生活習慣病との関連について理解できる。
C:脂質(リン脂質、中性脂質、脂肪酸、コレステロール)の基本的な種類、合成、運搬、代謝、制御を理解し、3大機能について理解できる。
D:健康の維持、増進における栄養素としての脂質の機能とエネルギー変換、過不足による生活習慣病等の疾患との関連について理解できる。
E:タンパク質の栄養素としての評価の方法を理解し、糖新生および窒素代謝の意義、疾患との関連について理解できる。
F:脂溶性ビタミン、水溶性ビタミンの生体での機能を理解し、摂取不足、過剰摂取による疾患との関連について理解できる。
G:ミネラルの生体での機能を理解し、摂取不足、過剰摂取による疾患との関連について理解できる。
パワーポイントと配布資料を用いて講義形式ですすめる。最後に、復習のための演習問題を各自解くことにより理解を深める。講義内で演習問題の解答を提示する。
原則として対面授業にて実施する。
No. | 講義項目 | 担当者 | 開講日 | 授業内容・方法 |
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1 | 糖質の種類、吸収、代謝、制御ー血糖値の制御ー | 今井 浩孝 | 4月7日③ | 糖質の種類と構造、糖質がどのように消化、吸収され、体内に蓄積されるか、また血糖値がどのように制御されているかについて学ぶ。 <予習>事前に教科書で該当するところを学習する。 <復習>プリントの最後にある練習問題で習熟度を確認し、できなかったところを再度確認する。 <到達目標>A,B,C,D,Eに関連する。 |
2 | 糖質によるエネルギー産生と糖新生ー糖尿病、ガラクトース血症との関連 | 今井 浩孝 | 4月14日③ | 糖質がどのようにエネルギーに変換できるかについて学ぶ。ペントースリン酸経路、糖新生経路について学ぶ。糖尿病、ガラクトース血症の発症メカニズムについて学ぶ。 <予習>事前に教科書で該当するところを学習する。 <復習>プリントの最後にある練習問題で習熟度を確認し、できなかったところを再度確認する。 <到達目標>A,B,C,D,Eに関連する。 |
3 | 脂質の化学ー脂肪酸、トリアシルグリセリール、コレステロール、リン脂質の構造と機能 | 今井 浩孝 | 4月21日③ | 脂質の三大機能を学ぶ。脂質の種類と機能、脂肪酸の構造、トリアシルグリセロール、コレステロール、リン脂質の構造、化学的性質、役割、疾患との関連について学ぶ。 <予習>事前に教科書で該当するところを学習する。 <復習>プリントの最後にある練習問題で習熟度を確認し、できなかったところを再度確認する。 <到達目標>A,B,C,D,Eに関連する。 |
4 | 脂質の代謝、リポタンパク質の分類と機能、ホスホリリパーゼと炎症との関連 | 今井 浩孝 | 5月12日③ | 脂質がどのように消化、吸収され、体内に分配されるかについて学ぶ。脂質運搬に係わるリポタンパク質を列挙し、それぞれの構造の特色、役割を学ぶ。ホスホリパーゼの種類とその機能、炎症性メディエーター、プロスタグランジンとロイコトリエンの産生制御機構と病態との関連について学ぶ。 <予習>事前に教科書で該当するところを学習する。 <復習>プリントの最後にある練習問題で習熟度を確認し、できなかったところを再度確認する。 <到達目標>A,B,C,D,Eに関連する。 |
5 | リン脂質,脂肪酸、コレステロールの生合成と調節機構と疾患 | 今井 浩孝 | 5月19日③ | 脂肪酸の合成、β酸化、ケトン体の生成、コレステロールの生合成、調節機構を学ぶ。メタボリックシンドローム、動脈硬化との関連について学ぶ。 <予習>事前に教科書で該当するところを学習する。 <復習>プリントの最後にある練習問題で習熟度を確認し、できなかったところを再度確認する。 <到達目標>A,B,C,D,Eに関連する。 |
6 | アミノ酸・たんぱく質の化学とアミノ酸の代謝 | 今井 浩孝 | 5月26日③ | アミノ酸およびたんぱく質の種類と構造、機能を学ぶ。アミノ酸の代謝、脱炭酸、脱アミノ反応、尿素回路について学ぶ。 <予習>事前に教科書で該当するところを学習する。 <復習>プリントの最後にある練習問題で習熟度を確認し、できなかったところを再度確認する。 <到達目標>A,B,C,D,Eに関連する。 |
7 | ミネラル | 安田 柊 | 6月2日③ | 準主要元素、必須微量元素を列挙し、体内分布、生理作用について学ぶ。 <予習>事前に教科書で該当するところを学習する。 <復習>プリントの最後にある練習問題で習熟度を確認し、できなかったところを再度確認する。 <到達目標>Gに関連する。 |
8 | 休講 | 6月9日③ | ||
9 | タンパク質の消化と栄養評価 | 今井 浩孝 | 6月16日③ | たんぱく質の消化、吸収、代謝、窒素平衡、たんぱく質の栄養価、アミノ酸価について学ぶ。 <予習>事前に教科書で該当するところを学習する。 <復習>プリントの最後にある練習問題で習熟度を確認し、できなかったところを再度確認する。 <到達目標>A,B,C,D,Eに関連する。 |
10 | 水溶性ビタミン | 安田 柊 | 6月23日③ | 水溶性ビタミン B群、C、ニコチン酸、葉酸、パントテン酸、ビオチンの構造が認識でき、関与する代表的な生理機能について学ぶ。 <予習>事前に教科書で該当するところを学習する。 <復習>プリントの最後にある練習問題で習熟度を確認し、できなかったところを再度確認する。 <到達目標>Fに関連する。 |
11 | 脂溶性ビタミン | 安田 柊 | 6月30日③ | 脂溶性ビタミン A、D、E、Kの構造が認識でき、生理的役割を学ぶ。 <予習>事前に教科書で該当するところを学習する。 <復習>プリントの最後にある練習問題で習熟度を確認し、できなかったところを再度確認する。 <到達目標>Fに関連する。 |
定期試験 | 各講義で使用したプリント及び教科書の中から出題し、記述式解答により理解度について評価する(定期試験 100%)。 |
授業 | 授業回数10回+定期試験 |
その他 | 欠席、遅刻、態度不良は減点する。定期試験の結果、総合得点の60%以上を合格とする。 |
糖質、脂質、蛋白質の栄養素としての役割、代謝、吸収、消化について理解するためには、栄養素を口から摂取したあとにどのように吸収、消化されるのかを流れで覚えよう。飢餓状態や飽食状態の際の3つの栄養素がどのように連関しているかを理解しよう。ビタミンはどういう反応に使われているのか、ミネラルはどのような酵素に含まれているか、またビタミンやミネラルの摂取における過剰症、欠乏症は重要です。これらの項目を理解することで、臨床栄養学の基礎や栄養素の健康増進への理解が身につきます。
1 | 【授業時間外に必要な学習の時間:30時間】 糖質、脂質、アミノ酸やビタミンなど構造、代謝経路、生理的役割をきちんと理解すること。 |
2 | 講義プリントを中心に授業を行うので内容について、当該分野を事前に教科書「衛生薬学 基礎・予防・臨床」を用いて予習を行う。 |
3 | プリント末の国試演習問題等を利用して復習を行い理解度について確かめる。理解できていないところは、教科書およびプリントを熟読し、理解を深めるとともに、オフィスアワーなどを最大限利用して、積極的に質問に来ること。 |
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 衛生薬学 基礎・予防・臨床 (改訂第5版) | 今井浩孝・小椋康光 編集 | 南江堂 |
参考書 | 講義プリント配布 |