科目名 | : | 免疫学 |
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英文名 | : | Immunology |
科目概要 | : | 薬・創薬, 3年, 前期, 必修, 1単位 A, B, C, D, S, 火曜日2時限, 2202大講義室 |
科目責任者 | : | 金 倫基 (微生物学・教授) |
担当者 | : | 金 倫基(微生物学・教授)、三木 剛志(微生物学・准教授)、羽田 健(微生物学・講師)、久保 誠※(医療衛生学部・教授) |
備考 | : | 健康食品管理士養成講座対応科目 実務経験のある教員による授業科目(担当者に付されている※印は実務経験のある教員を表す) 〔科目ナンバリング:PP301-BI03, PL301-BI03〕 |
免疫学では、微生物学、生化学、細胞生物学、病理学など、これまでの学習内容を踏まえ、リンパ器官の構造と機能、免疫を担当する細胞の発生と分化、それらの細胞の細胞間相互作用及び機能を学び、生体防御としての免疫反応を理解できるようにする。その上で、感染症、自己免疫疾患やアレルギーなどの免疫系の破綻が原因となる疾患の病態、移植、腫瘍における免疫とその問題点を理解し、診断や予防・治療法を学ぶための基本的知識を身につける。
科目の位置付け:生物・生理系専門科目
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の薬学科④、生命創薬科学科①に関連する。
ヒトの免疫系について、個体、組織、細胞レベルで理解するために、免疫系に関わるリンパ系器官及び組織の構造と機能、免疫に関わる細胞の分化過程や機能、免疫応答における反応開始から終了までの過程について説明する。免疫応答による生体防御反応に加え、免疫系の過剰反応によるアレルギーや自己免疫疾患、さらに、特殊な免疫応答として移植やがん(腫瘍)に関わるそれぞれの免疫応答についても説明する。
A:主なリンパ管の名称と位置、一次及び二次リンパ器官の構造と機能、免疫担当細胞の種類とその機能を理解し、免疫系としてのリンパ系組織に関して説明できる。
B:免疫応答による自然免疫と獲得免疫について理解し、それぞれに関わる細胞とその役割を説明できる。
C:免疫応答に関わる抗体、補体及びサイトカインの役割を理解し、これらの因子が関わる免疫応答の調節機構を説明できる。
D:T細胞及びB細胞の分化・成熟過程を理解し、遺伝子再構成による抗原受容体の多様性、抗原認識機構及びその後のシグナル伝達機構を理解し、抗原特異的な免疫応答の仕組みを説明できる。
E:アレルギー及び自己免疫疾患の発症メカニズムと代表的な疾患を学び、診断法や予防・治療法を学修するための基礎知識を習得する。
F: 拒絶反応など移植に関わる免疫応答を理解し、免疫抑制剤などによる治療法を学修するための基礎知識を習得する。
G:がんに関わる免疫応答を理解し、免疫応答を利用したがん治療法を学ぶための基礎知識を習得する。
パワーポイントと配付資料を活用して講義形式ですすめる。課題に対しては、提出後、解説を掲示する。定期試験は、試験後、解答・解説を掲示する。対面授業にて実施する。
No. | 講義項目 | 担当者 | 開講日 | 授業内容・方法 |
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1 | 免疫系の特徴 免疫系を構成する器官と細胞 | 金 倫基 | 4月8日② | 1)免疫応答の特徴について学ぶ。 2)免疫系を構成する器官(骨髄、胸腺、リンパ節、脾臓など)と細胞(食細胞、リンパ球、顆粒球、抗原提示細胞など)を列挙し、その役割を学ぶ。 【予習】事前に教科書や配布資料を読んで、免疫系の組織・細胞について概略を理解しておく。 【復習】講義内容を踏まえて、配布資料を再度チェックし、重要なキーワードについて理解を深める。 【到達目標】A、Bに関連する。 |
2 | 抗原・抗体・補体・サイトカイン | 羽田 健 | 4月17日② | 1)抗原の特徴、抗体分子の種類、構造及びその機能について学ぶ。 2)補体の活性化経路と生理作用について学ぶ。 3)免疫に関わるサイトカインを列挙し、それぞれの作用機序について学ぶ。 【予習】事前に教科書や配布資料を読んで、抗体、補体及びサイトカインについての概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえて、配布資料を再度チェックし、重要なキーワードについて理解を深める。 【到達目標】B、Cに関連する。 |
3 | 免疫反応機構 | 羽田 健 | 4月22日② | 1)自然免疫と獲得免疫の特徴とその免疫応答に関わる細胞とその役割について学ぶ。 【予習】事前に教科書や配布資料を読んで、自然免疫と獲得免疫についての概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえて、配布資料を再度チェックし、重要なキーワードについて理解を深める。 【到達目標】A、B、Cに関連する。 |
4 | 主要組織適合遺伝子複合体(MHC) | 三木 剛志 | 5月13日② | MHC 抗原の基本的構造と機能、抗原のプロセシングと抗原提示について学ぶ。 T 細胞による抗原認識について説明できる。 【予習】事前に教科書や配布資料を読んで、MHC及び抗原提示についての概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえて、配布資料を再度チェックし、重要なキーワードについて理解を深める。 【到達目標】B、C、Dに関連する。 |
5 | 抗原受容体の多様性獲得機構 | 三木 剛志 | 5月20日② | 抗体分子及びT細胞受容体の多様性を生み出す遺伝子再構成について学ぶ。 【予習】事前に教科書や配布資料を読んで、抗体やT細胞受容体の多様性を生み出す遺伝子再構成についての概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえて、配布資料を再度チェックし、重要なキーワードについて理解を深める。 【到達目標】B、C、Dに関連する。 |
6 | リンパ球の分化と成熟 | 三木 剛志 | 5月27日② | B細胞及びT 細胞の成熟過程について学ぶ。 【予習】事前に教科書や配布資料を読んで、B細胞及びT 細胞の成熟過程についての概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえて、配布資料を再度チェックし、重要なキーワードについて理解を深める。 【到達目標】B、C、Dに関連する。 |
7 | アレルギー ※6/3 2限 休講 ※6/9 5限 補講 | 三木 剛志 | 6月9日⑤ | 1)アレルギーについて分類し、担当細胞及び反応機序について学ぶ。 2)代表的なアレルギー疾患について列挙し、その発症機構について学ぶ。 【予習】事前に教科書や配布資料を読んで、アレルギー及びアレルギー疾患についての概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえて、配布資料を再度チェックし、重要なキーワードについて理解を深める。 【到達目標】B、C、Eに関連する。 |
8 | ウイルス感染に対する免疫応答 | 久保 誠 | 6月10日② | ウイルス感染に対する免疫応答(自然免疫、獲得免疫)について学ぶ。 【予習】事前に教科書や配布資料を読んで、ウイルスに対する免疫応答についての概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえて、配布資料を再度チェックし、重要なキーワードについて理解を深める。 【到達目標】A、B、C、Dに関連する。 |
9 | 移植免疫 | 金 倫基 | 6月17日② | 臓器移植と免疫反応の関わりについて学ぶ。 【予習】事前に教科書や配布資料を読んで、臓器移植及び異種に対する免疫応答についての概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえて、配布資料を再度チェックし、重要なキーワードについて理解を深める。 【到達目標】A、B、C、D、Fに関連する。 |
10 | 腫瘍に対する免疫応答 | 金 倫基 | 6月24日② | 腫瘍に対する免疫応答について学ぶ。 【予習】事前に教科書や配布資料を読んで、腫瘍に対する免疫応答についての概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえて、配布資料を再度チェックし、重要なキーワードについて理解を深める。 【到達目標】A、B、C、D、Gに関連する。 |
定期試験 | 定期試験(80%) |
授業 | 課題レポート(20%) |
その他 |
「免疫」は、異物に対する生体側の巧みな防御機構として働いています。免疫システムを理解することで、疾病に対する予防や治療、さらには創薬に至るまでさまざまな可能性が生まれます。また、現在では研究分野だけでなく臨床検査においても免疫学的手法を用いた測定法が活用されています。一方、過剰な免疫反応は、自己免疫疾患など重篤な病気をもたらします。免疫学では、まず身体を守るシステムを学び、次いで、免疫反応の破綻によるアレルギー疾患の発症機構などについて、薬学的な視点から学んでいきたいと思います。
1 | 【授業時間外に必要な学習の時間:30時間】 |
2 | 講義の前に教科書や参考書を良く読んで予習し、講義内容を講義中に理解できるよう心がけること。講義終了後は、当日配布した講義プリントで復習し、不明な点があれば、担当教員に尋ねること。 |
3 | 【実務経験のある教員による授業】(※印の付された担当者) 研究所での実務経験を踏まえ、ウイルス感染による免疫応答について概説する。 |
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 薬系 免疫学 改訂第3版 | 植田正、前仲勝実 編 | 南江堂 |
参考書 | ベーシック薬学教科書シリーズ10 免疫学(第2版) | 山元 弘 編 | 化学同人 |
参考書 | イラストレイテッド免疫学 | 矢田純一、高橋秀実 監訳 | 南江堂 |