科目名 | : | 臨床生化学 |
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英文名 | : | Clinical Biochemistry |
科目概要 | : | 薬・創薬, 3年, 後期, 選択, 1単位 A, B, C, D, S, 水曜日2時限, 2202大講義室 |
科目責任者 | : | 飯田 直幸 (生化学・講師) |
担当者 | : | 飯田 直幸(生化学・講師) |
備考 | : | NR・サプリメントアドバイザー養成講座対応科目 健康食品管理士養成講座対応科目 〔科目ナンバリング:PP301-CP03, PL301-CP03〕 |
この講義の目的は、病態を分子レベルで理解するために、生命がどのようなメカニズム(分子機構)で作動しているかを深く学ぶことである。生理学や生化学で学んだ代謝や遺伝子発現の分子機構と、それらが疾患発症とどのように関連しているかを探求する。学生は、細胞の基本構造から学び始め、生体内の複雑な代謝経路や遺伝子の働きを理解し、これらの知識を疾患の診断や治療に応用する能力を身につけることを目指す。
科目の位置付け:生物・生理系専門科目
この科目は、学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の薬学科④および生命創薬科学科①に関連する。
この講義では、生体内のエネルギーと物質代謝プロセスを深く理解することを目指す。学生は、細胞構造から学び始め、エネルギー代謝のメカニズムや物質代謝のプロセス、それらが疾患とどのように関連しているかについて学ぶ。さらに、科学論文を紹介することで、理論と実践のつながりを強化する。また、ほぼ毎回の講義で小テストを実施し、能動的な学習を促進する(範囲と実施日は事前に周知する)。
A) 細胞内分子機構の実践的理解: 細胞の小器官と細胞骨格の機能を学んだことにより、健康と病態の細胞レベルでの理解を深め、疾患の診断や治療に応用できる。
B) 代謝系と疾患の関連性の実践的理解: 代謝系の知識を深めることで、特定の疾患の発症メカニズムを認識し、効果的な治療法の選択に貢献できる。
C) 遺伝情報の処理の実践的理解: 遺伝子発現の調節メカニズムを理解することで、遺伝子関連の疾患の診断と治療に役立つ洞察を得る。
D) DNAの複製と修復の機構の実践的理解: DNAの複製と修復の知識を通じて、遺伝性疾患やがんの発症メカニズムを理解する。
E) 科学研究論文の解析能力の向上: 研究論文を解析する能力を養い、最新の生化学研究を臨床現場に応用する方法を理解する。
パワーポイントと配布資料を用いて講義形式で進める。理解度を確認するため、小テストを実施し、その解答を掲示する。提出された課題は全体で共有する場合があり、事前に学生本人に共有の可否を確認する。講義は対面で実施し、必要に応じて動画で補足する。また、グループや個人での討論、質疑を行い、加点する場合がある。
No. | 講義項目 | 担当者 | 開講日 | 授業内容・方法 |
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1 | 細胞の構造と機能 | 飯田 直幸 | 9月3日② | 細胞内小器官(核,ミトコンドリア,小胞体,リソソーム,ゴルジ体,ペルオキシソームなど)やリボソームの構造と機能について学ぶ。細胞骨格の構造と機能を学ぶ。 【予習】事前に講義プリント及び教科書等を読んで、講義の概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、細胞内小器官についてまとめ、理解を深める。 【到達目標】Aに関連する。 |
2 | 人体の成り立ち | 飯田 直幸 | 9月10日② | 人体を構成する器官,器官系の名称,形態,体内での位置および機能を学ぶ。組織,器官を構成する代表的な細胞の種類(上皮,内皮,間葉系など)を列挙し,形態的および機能的特徴 を学ぶ。神経系、骨、筋肉、皮膚、消化器系、泌尿器系について学ぶ。 【予習】事前に講義プリント及び教科書等を読んで、講義の概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、人体を構成する器官についてまとめ、理解を深める。 【到達目標】Aに関連する。 |
3 | エネルギー代謝系の全体像 | 飯田 直幸 | 9月17日② | エネルギー代謝系の成り立ちを俯瞰し、その器官・組織的特性について学ぶ。体内の糖の動態及び臓器・組織の糖利用特性と疾患の関係を学ぶ。 【予習】事前に講義プリント及び教科書等を読んで、講義の概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、エネルギー代謝の全体像についてまとめ、理解を深める。 【到達目標】B、E に関連する。 |
4 | 糖質代謝(1) | 飯田 直幸 | 9月24日② | 単糖、二糖、多糖の構造、性質、役割を理解し、糖質が生体内でどのように利用されるかを学ぶ。さらに、解糖系やTCAサイクルといった糖代謝の主要な経路を取り上げ、分子構造や反応過程を基礎から学ぶ。この講義を通じて、糖代謝の全体像とその基本的な仕組みを学ぶ。 【予習】事前に講義プリント及び教科書等を読んで、講義の概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、個々の糖代謝経路とその破綻により引き起こされる疾患についてまとめ、理解を深める。 【到達目標】Bに関連する。 |
5 | 糖代謝(2) | 飯田 直幸 | 10月1日② | 解糖系やTCAサイクルの組織特性と疾患の関係を理解し、糖代謝が細胞や組織に与える影響を学ぶ。また、グリコーゲン代謝系やペントースリン酸回路などのサブ回路の特性を理解し、これらがエネルギー代謝や細胞機能に果たす役割を学ぶ。糖代謝と疾患との関連性を深く掘り下げ、糖質代謝の臨床的意義を学ぶ。 【予習】事前に講義プリント及び教科書等を読んで、講義の概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、個々の糖代謝経路とその破綻により引き起こされる疾患についてまとめ、理解を深める。 【到達目標】Bに関連する。 |
6 | アミノ酸と脂質の代謝(1) | 飯田 直幸 | 10月8日② | アミノ酸の構造と性質を学び、糖代謝系とアミノ酸、脂質の関係及び関連病態について学ぶ。さらに、糖の利用が低下した場合の代謝系の病態についても学ぶ。 【予習】事前に講義プリント及び教科書等を読んで、講義の概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、アミノ酸代謝と糖代謝の関係についてまとめ、理解を深める。 【到達目標】Bに関連する。 |
7 | アミノ酸と脂質の代謝(2) | 飯田 直幸 | 10月15日② | 体内脂質の動態及びその異常が生体に与える影響について学ぶ。さらに、主な脂質代謝異常による疾患の病態とその評価について学ぶ。 【予習】事前に講義プリント及び教科書等を読んで、講義の概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、脂質代謝の全体像についてまとめ、理解を深める。 【到達目標】Bに関連する。 |
8 | 核酸の代謝 | 飯田 直幸 | 10月22日② | ヌクレオチドの種類、構造を学ぶ。ヌクレオチドの生合成と分解と関連疾患について学ぶ。 【予習】事前に講義プリント及び教科書等を読んで、講義の概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、ヌクレオチドの構造と生合成・分解についてまとめ、理解を深める。 【到達目標】C、Eに関連する。 |
9 | 遺伝子の転写、翻訳 | 飯田 直幸 | 10月29日② | 遺伝情報とは何かを学ぶ。遺伝子の転写の分子機構、RNAの様々なプロセシングについて学ぶ。 翻訳の分子機構について学ぶ。 【予習】事前に講義プリント及び教科書等を読んで、講義の概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、RNA転写の全体像についてまとめ、理解を深める。 【到達目標】Dに関連する。 |
10 | DNAの複製 | 飯田 直幸 | 11月12日② | DNAの複製過程、変異修復の分子機構を学ぶ。 【予習】事前に講義プリント及び教科書等を読んで、講義の概要を理解する。 【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、DNAの複製過程の全体像についてまとめ、理解を深める。 【到達目標】Dに関連する。 |
定期試験 | 定期試験は行わない。 |
授業 | 授業回数10回 |
その他 | 課題・講義内レポート(30%)、小テスト(70%)に基づいて評価する(状況に応じて30%と70%の割合は変更する場合がある)。課題、小テストの各々60%以上を合格とする。講義ではグループや個人での討論、質疑などを行い、加点する場合がある。遅刻、欠席、不真面目な態度は減点の対象とする。正当な理由のない欠席によって受験できなかった小テストは0点とするが、正当な理由がある場合には追試験の実施等で対応する。課題・講義内レポートのうち優秀なものは公開する予定であり、事前に公開可能か学生本人に確認する。小テスト受験には学生証を必要とする。 |
生命を分子基盤から考えることは、病態を正しく理解する上で欠かせない。本講義は、これまでに習得した生理学 I・IIおよび生化学 I・II・III の内容をさらに深く理解するための授業である。
1 | 【授業時間外に必要な学習時間:30時間】 |
2 | 指定された課題を提出すること。 |
3 | 予習: 生化学、生理学の内容を理解しておくこと。教科書の対応する箇所を読み、概要を理解しておくこと。 復習: 配布資料をよく復習して、教科書等を利用し理解を深めること。 |
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 適宜講義資料配布 | ||
教科書 | ニューダイレクション薬学生化学 | 北川裕之・山田修平(編著) | 京都廣川書店 |
参考書 |