Web Syllabus(講義概要)
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科目名:生化学Ⅱ
英文名:Biochemistry Ⅱ
科目概要:薬・創薬, 2年, 前期, 必修, 1単位
A, B, C, D, S, 金曜日3時限, 2201大講義室
科目責任者:飯田 直幸 (生化学・講師)
担当者:飯田 直幸(生化学・講師)
備考:健康食品管理士養成講座対応科目 
〔科目ナンバリング:PP301-BI02, PL301-BI02〕

授業の目的(科目のねらい)

この科目の目的は、生命維持のために細胞内で行われる各種代謝反応やエネルギー獲得の分子機構を深く理解することにあります。細胞が摂取した栄養素を代謝してエネルギーを産生し、そのエネルギーを消費する仕組みを詳細に学びます。これにより、栄養素の過不足や代謝異常が細胞の恒常性の破綻にどのように関連するかを理解し、タンパク質の構造や機能に関する知識を深めることで、構造異常に起因する細胞の機能不全が細胞の恒常性の破綻につながるメカニズムを学びます。
科目の位置付け:生物・生理系専門科目
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の薬学科④、生命創薬科学科①に関連する。

教育内容

生体内では多くの化学反応が起きています。食餌として取り込まれた物質(糖質や脂質)を体内に取り込み、たくさんの化学反応の経てエネルギー(ATP)を生み出しています。このエネルギー(ATP)を用いて、細胞は様々な活動を行っています。その一つとして、DNA、RNA、脂肪、グリコーゲンなどの高分子の生合成も行っています。生化学IIでは、これらの反応(代謝反応)を詳細に講義します。

学習の到達目標

A) エネルギー代謝の理解: 糖質および脂質の代謝経路について学び、どのようにしてATPを産生するかを説明できるようにし、これらの知識を実際の臨床例や健康状態の分析に応用できる。
B) アミノ酸とヌクレオチドの代謝: アミノ酸の代謝プロセスとヌクレオチドの生合成の基本原理を理解し、体内でのこれら物質の役割を理解し、健康維持や疾病予防に関連付けて考える能力を養う。
C) 分子構造の理解: 糖質、脂質、アミノ酸の化学構造を詳細に理解し、これらが生化学プロセスにどう影響するかを実際の事例を用いて説明できるようになる。
D) 実験技術の応用: 実験室での基本技術を習得し、生化学実験を通じて得た知識を新たな研究や問題解決に活用できる。
E) 総合的理解の促進: これらの代謝プロセスが人間の健康や病気の状態とどのように関連しているかを理解し、生化学の知識を臨床的な文脈に適用できるようにする。

教育方法

毎回、パワーポイント資料を配布し、これを映写して講義形式ですすめる。適宜、視聴覚メディア、板書などを活用する。全10回講義の中で、数回小テストを実施する(範囲、実施日は事前に周知する)。小テスト終了後に、出題内容について解説する。対面で実施する。必要に応じて動画でも補足する。定期試験に対しては、解答・解説を掲示する。教科書として3冊挙げているが、全て購入する必要はなく、自分にあったものを購入しておくと良い。

講義内容

No.講義項目担当者開講日授業内容・方法
1糖代謝飯田 直幸
4月11日③解糖系の概要について学ぶ。
ペントースリン酸経路について学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、解糖系の全体像についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、Cに関連する。
2糖代謝の統合飯田 直幸
4月18日③解糖系と糖新生、グリコーゲン代謝、クエン酸回路がどのように相互に関係し合って制御されているかを学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、解糖系周辺の代謝経路についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、Cに関連する。
3糖質の生合成飯田 直幸
4月25日③糖新生の経路について解糖系と比較して学ぶ。
グリコーゲンの生合成と分解の制御について学ぶ。
糖新生と解糖系の調節について鍵となるステップを学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、代謝経路の活性調節についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、Cに関連する。
4酸化的リン酸化−1飯田 直幸
5月9日③ミトコンドリアの構造の特徴について学ぶ。
電子伝達物質と電子伝達系の阻害剤について具体例を学ぶ。
電子伝達系に関与する複合体 I~IV 及びATP シンターゼについて特徴について学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、ミトコンドリアの性質や電子伝達系についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、Cに関連する。
5酸化的リン酸化−2飯田 直幸
5月16日③化学浸透圧説やATP 合成における共役と脱共役について学ぶ。
ミトコンドリア内膜における物質輸送系を学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、クエン酸回路、電子伝達系、酸化的リン酸化反応の流れについてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、C、Dに関連する。
6アミノ酸の酸化と尿素の生成飯田 直幸
5月23日③アミノ酸の分解経路、アミノ基の転移反応、素回路の各反応について物質の変化を追って学ぶ。
アミノ酸の代謝異常と代表的な疾患の関係について学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、アミノ酸の分解と尿素回路の分子機構についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】B、C、Eに関連する。
7アミノ酸の生合成飯田 直幸
5月30日③窒素代謝の概要、アミノ酸の生合成経路について学ぶ。
アミノ酸の生合成とクエン酸回路の関係について学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、アミノ酸の生合成についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】B、C、Eに関連する。
8脂肪酸の酸化飯田 直幸
6月6日③脂質の構造、脂質の消化と動員及び輸送、ケトン体について学ぶ。
脂肪酸のβ - 酸化について物質の変化を追って学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、脂質の消化・吸収や脂肪酸のエネルギー産生についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、C、Eに関連する。
9ヌクレオチド及び関連物質の生合成
※オンデマンド
飯田 直幸
6月13日③プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチドの生合成経路を学ぶ。
ヌクレオチドの分解とサルベージ経路を学ぶ。
ヌクレオチドの代謝異常と疾患の関係について学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、ヌクレオチドの生合成経路と分解経路についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】B、C、Eに関連する。
10哺乳類の代謝の統合飯田 直幸
6月20日③グルコース代謝とグリコーゲン代謝、脂質の代謝、アミノ酸とヌクレオチドの代謝についてどのように相互に関連しているかを学ぶ。
ホルモンによって血糖値がどのように調節を受けるかを学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、糖質・脂質・アミノ酸の関わるエネルギー代謝とそのホルモン制御についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、B、C、D、Eに関連する。
No. 1
講義項目
糖代謝
担当者
飯田 直幸
開講日
2025-04-11
授業内容・方法
解糖系の概要について学ぶ。
ペントースリン酸経路について学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、解糖系の全体像についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、Cに関連する。
No. 2
講義項目
糖代謝の統合
担当者
飯田 直幸
開講日
2025-04-18
授業内容・方法
解糖系と糖新生、グリコーゲン代謝、クエン酸回路がどのように相互に関係し合って制御されているかを学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、解糖系周辺の代謝経路についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、Cに関連する。
No. 3
講義項目
糖質の生合成
担当者
飯田 直幸
開講日
2025-04-25
授業内容・方法
糖新生の経路について解糖系と比較して学ぶ。
グリコーゲンの生合成と分解の制御について学ぶ。
糖新生と解糖系の調節について鍵となるステップを学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、代謝経路の活性調節についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、Cに関連する。
No. 4
講義項目
酸化的リン酸化−1
担当者
飯田 直幸
開講日
2025-05-09
授業内容・方法
ミトコンドリアの構造の特徴について学ぶ。
電子伝達物質と電子伝達系の阻害剤について具体例を学ぶ。
電子伝達系に関与する複合体 I~IV 及びATP シンターゼについて特徴について学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、ミトコンドリアの性質や電子伝達系についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、Cに関連する。
No. 5
講義項目
酸化的リン酸化−2
担当者
飯田 直幸
開講日
2025-05-16
授業内容・方法
化学浸透圧説やATP 合成における共役と脱共役について学ぶ。
ミトコンドリア内膜における物質輸送系を学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、クエン酸回路、電子伝達系、酸化的リン酸化反応の流れについてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、C、Dに関連する。
No. 6
講義項目
アミノ酸の酸化と尿素の生成
担当者
飯田 直幸
開講日
2025-05-23
授業内容・方法
アミノ酸の分解経路、アミノ基の転移反応、素回路の各反応について物質の変化を追って学ぶ。
アミノ酸の代謝異常と代表的な疾患の関係について学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、アミノ酸の分解と尿素回路の分子機構についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】B、C、Eに関連する。
No. 7
講義項目
アミノ酸の生合成
担当者
飯田 直幸
開講日
2025-05-30
授業内容・方法
窒素代謝の概要、アミノ酸の生合成経路について学ぶ。
アミノ酸の生合成とクエン酸回路の関係について学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、アミノ酸の生合成についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】B、C、Eに関連する。
No. 8
講義項目
脂肪酸の酸化
担当者
飯田 直幸
開講日
2025-06-06
授業内容・方法
脂質の構造、脂質の消化と動員及び輸送、ケトン体について学ぶ。
脂肪酸のβ - 酸化について物質の変化を追って学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、脂質の消化・吸収や脂肪酸のエネルギー産生についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、C、Eに関連する。
No. 9
講義項目
ヌクレオチド及び関連物質の生合成
※オンデマンド
担当者
飯田 直幸
開講日
2025-06-13
授業内容・方法
プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチドの生合成経路を学ぶ。
ヌクレオチドの分解とサルベージ経路を学ぶ。
ヌクレオチドの代謝異常と疾患の関係について学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、ヌクレオチドの生合成経路と分解経路についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】B、C、Eに関連する。
No. 10
講義項目
哺乳類の代謝の統合
担当者
飯田 直幸
開講日
2025-06-20
授業内容・方法
グルコース代謝とグリコーゲン代謝、脂質の代謝、アミノ酸とヌクレオチドの代謝についてどのように相互に関連しているかを学ぶ。
ホルモンによって血糖値がどのように調節を受けるかを学ぶ。
【予習】事前に講義プリント及び参考書などを読んで、講義の概要を理解する。
【復習】講義内容を踏まえ、講義プリントを見直し、糖質・脂質・アミノ酸の関わるエネルギー代謝とそのホルモン制御についてまとめ、理解を深める。
【到達目標】A、B、C、D、Eに関連する。

評価方法と基準

定期試験講義範囲に該当する領域を理解できているかを問う記述試験。持ち込み禁止。
授業授業回数10回
その他定期試験(90%)、小テスト(10%)により評価する。状況により小テストを実施できない場合には、定期試験のみで評価する。

学生へのメッセージ

多くの代謝経路を暗記することになるかと思いますが、このような分子レベルでの生命現象の理解は、薬の作用機構の理解のために必要なことです。頑張りましょう。

準備学習(予習・復習)・その他

1【授業時間外に必要な学習の時間:30時間】
2予習: 生化学1、生理学1の内容を理解しておくこと。事前に配布される講義資料及び教科書の対応する箇所を読み、概要を理解しておくこと。
復習: 講義資料をよく復習して、参考書等を利用し理解を深め、次回の講義に備えること。
3教科書は、全て購入する必要はなく、自分にあったものを利用すること。
レーニンジャーの新生化学(上、下)
生化学 I で使用される教科書であり、代謝反応の分子機構を詳細に解説している。生化学 II の複雑な内容を深く理解するための重要な情報が豊富に含まれている。
基礎からしっかり学ぶ生化学
全範囲にわたり分かりやすく記述されており、初学者でも独力で読み進めながら理解できる構成となっている。
ニューダイレクション薬学生化学
薬学部生を対象に執筆された生化学の教科書。薬学に関連したトピックを取り入れつつ、生化学の要点を網羅している。薬学部生にとって特に関連性が高く、実践的な内容を提供する。

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書毎回、資料を配布する。
教科書レーニンジャーの新生化学 (上、下) D. L. Nelson and M. M. Cox(川嵜敏祐 監修)廣川書店
教科書基礎からしっかり学ぶ生化学成田央(著者)・山口雄輝(編著者)羊土社
教科書ニューダイレクション薬学生化学北川裕之・山田修平(編著)京都廣川書店
参考書
教科書
署名
毎回、資料を配布する。
著者・編者
発行所
教科書
署名
レーニンジャーの新生化学 (上、下)
著者・編者
D. L. Nelson and M. M. Cox(川嵜敏祐 監修)
発行所
廣川書店
教科書
署名
基礎からしっかり学ぶ生化学
著者・編者
成田央(著者)・山口雄輝(編著者)
発行所
羊土社
教科書
署名
ニューダイレクション薬学生化学
著者・編者
北川裕之・山田修平(編著)
発行所
京都廣川書店
参考書
署名
著者・編者
発行所