科目名 | : | 有機合成実習 |
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英文名 | : | Practice in Pharmaceutical Chemistry |
科目概要 | : | 薬・創薬, 2年, 後期, 必修, 1単位 A, B, C, D, S, 集中3・4・5限 |
科目責任者 | : | 長光 亨 (薬品製造化学・教授) |
担当者 | : | 長光 亨(薬品製造化学・教授)、長井 賢一郎(医薬研究施設・講師)、有馬 志保(薬品製造化学・助教)、李 大葵(薬品製造化学・助教)、平井 潤也(薬品製造化学・助教) |
備考 | : | 〔科目ナンバリング:PP304-CH02, PL304-CH02〕 |
自然科学は、信頼するに足る実験と観察の結果を基に、その知見を総合して進歩発展するものである。薬学は、特に実験と観察を必要とする自然科学の一分野である。この実習では、基本的な化学実験と観察の技術を習得するために、無機化合物・有機化合物の初歩的な取り扱い方を学び、あわせて日本薬局方純度試験・確認試験などの基本を理解し考察できる能力を身につける。
科目の位置付け:化学系専門科目
この科目は学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)の薬学科④⑤、生命創薬科学科①③に関連する。
抗細菌薬であるスルファニルアミドと局所麻酔薬であるアネスタミンを出発原料から2工程でそれぞれ合成する。さらに合成した化合物について、薄層クロマトグラフィー、融点測定、核磁気共鳴(NMR)スペクトルの解析を行い化合物の同定と純度確認を行う。
A:スルファニルアミドとアネスタミンの合成方法について説明できる。
B:実験に用いた試薬や合成した化合物をIUPAC命名法に従い命名することができる。
C:実験器具を正しく使用し、安全に実験を行うことができる。
D:官能基の性質を利用した分離精製を実施できる。
E:薄層クロマトグラフィーにより、生成物の同定及び純度を確認できる。
F:再結晶の原理を理解して化合物の精製を行うことができる。
G:合成した化合物の同定方法として、核磁気共鳴(NMR)及び質量分析について、大まかな原理、測定方法、帰属方法等を理解できる。
目的化合物ごとのパワーポイント及び配布資料を用いた実習講義 (計2回) により、実験の概略を説明するとともに各反応を理解してもらう。実験前にも配布資料を用いた操作上の詳細な説明を行い、その後に実際の実験を行うことで合成化学実験の基本的手技の習得を目指す。每実験終了時、ノートチェックを行う。その時にその日に行った実習内容に関する質問を個別に行うことで、各自の到達目標の達成度の振り返りを行ってもらう。対面授業とオンデマンド型遠隔授業を組み合わせて受講する。
No. | 実習項目 | 担当者 | 授業内容・方法 |
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1 | スルファニルアミドの合成 (実習講義と準備) | 長光 亨 長井 賢一郎 有馬 志保 李 大葵 平井 潤也 | 全体及びスルファニルアミド合成の実習の目的を確認する。また、各反応の工程についての内容を学ぶとともに、化合物の同定手段として重要なNMRの測定装置について学ぶ。 合わせて、安全に実習を行うための注意事項について学ぶ。 実習を行うための器具準備を行った後、ガラス細工の指導を受け、実際に作製して手技を習得する。 【予習】シラバスやガイダンス資料を読んでおくこと。 【復習】実習の諸注意点を復習して準備しておくこと。 【到達目標】A、B、C、D、E、F、Gに関連する。 |
2 | スルファニルアミドの合成 (第一工程/反応) | 長光 亨 長井 賢一郎 有馬 志保 李 大葵 平井 潤也 | スルファニルアミド合成の第一工程であるスルホン酸のアミド化反応について学び、実験手技を習得する。また、得られた結晶について、薄層クロマトグラフィーにより、生成物の同定及び純度を確認できるように手技を習得する。 【予習】実習資料を読んでおくこと。 【復習】実習内容を整理してレポートを作成すること。 【到達目標】A、B、C、Eに関連する。 |
3 | スルファニルアミドの合成 (第二工程/反応、再結晶) | 長光 亨 長井 賢一郎 有馬 志保 李 大葵 平井 潤也 | スルファニルアミド合成の第二工程である加水分解反応をよく理解し、実験手技を習得する。またスルファニルアミドを再結晶により、精製することができるよう実験手技を習得するとともに薄層クロマトグラフィで純度を確認する手法を習得する 【予習】実習資料を読んでおくこと。 【復習】実習内容を整理してレポートを作成すること。 【到達目標】A、B、C、D、Eに関連する。 |
4 | スルファニルアミドの合成 (第二工程/同定、純度確認) | 長光 亨 長井 賢一郎 有馬 志保 李 大葵 平井 潤也 | 再結晶により得られたスルファニルアミドについて融点測定(混融試験)、NMR測定により、スルファニルアミドの同定及び純度を確認できるよう手技を習得する。 【予習】実習資料を読んでおくこと。 【復習】実習内容を整理してレポートを作成すること。 【到達目標】A、B、C、E、F、Gに関連する。 |
5 | アネスタミンの合成【動画視聴】 (実習講義) | 長光 亨 長井 賢一郎 有馬 志保 李 大葵 平井 潤也 | アネスタミン合成の実習の目的と内容を学ぶ。 【予習】実習資料を読んでおくこと。 【復習】実習内容を整理して課題を解答すること。 【到達目標】A、B、C、D、E、Fに関連する。 |
6 | アネスタミンの合成 【動画視聴】 (第一工程/反応・粗精製) | 長光 亨 長井 賢一郎 有馬 志保 李 大葵 平井 潤也 | アネスタミン合成の第一工程であるエステル化反応をよく理解し、実験手技を習得する。 反応終了後、化合物の液性の差を利用した生成物の粗精製について学ぶ。また薄層クロマトグラフィーにより、生成物の同定及び純度を確認できるように手技を習得する。 【予習】実習資料を読んでおくこと。 【復習】実習内容を整理して課題を解答すること。 【到達目標】A、B、C、D、E、Fに関連する。 |
7 | アネスタミンの合成【動画視聴】 (第二工程/反応・粗精製・再結晶) | 長光 亨 長井 賢一郎 有馬 志保 李 大葵 平井 潤也 | アネスタミン合成の第二工程である還元反応をよく理解し、実験手技を習得する。 反応終了後、化合物の液性の差を利用して、分液漏斗を用いた抽出操作により生成物の粗精製について手技を習得する。また薄層クロマトグラフィーにより、生成物の同定及び純度を確認できるように手技を習得する。 再結晶の原理、操作法を理解し、合成したアネスタミンを再結晶により、精製することができるようになる。また薄層クロマトグラフィーや融点測定(混融試験)により、アネスタンの同定及び純度を確認できるように手技を習得する。 【予習】実習資料を読んでおくこと。 【復習】実習内容を整理して課題を解答すること。 【到達目標】A、B、C、D、E、Fに関連する。 |
8 | 総合テスト、構造解析講義、実習器具整理 | 長光 亨 長井 賢一郎 有馬 志保 李 大葵 平井 潤也 | NMRスペクトル及び質量分析を用いて合成したスルファニルアミドを例に解析(帰属)方法を学ぶ。 器具後片付け 【予習】実習資料を読んでおくこと。 【復習】全実習内容を復習して理解を深めること。 【到達目標】C、Gに関連する。 |
定期試験 | |
授業 | |
その他 | 実習態度(20%)、総合テスト(60%)、課題及びレポート(20%)の成績により評価する。なお、正当な理由なき遅刻及び無断欠席は実習態度より減点する。また実習態度、総合テスト、レポートそれぞれの点数が、配分点に対して60%に満たない場合は、不可とする。 |
自分の手を動かし、苦労しながら、実際に医薬品を合成してもらいます。将来薬を中心とした仕事に就く方がほとんどだと思いますので、その扱う薬がどのように合成されているかを体験しておくことは、良い経験になるはずです。積極的に実験を進めてください。
1 | 【授業時間外に必要な学習の時間:10時間】 |
2 | 毎日実習終了時に、その日に行った実験について、ノートチェック及び質疑応答を行うので、必ず予習をしてくること。 また各実験内容及びノートチェック時に質問された内容については、復習を欠かさず行うこと。 |
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 薬学化学系実習書 | 薬学化学系教室 | 北里大学薬学部 |
参考書 | (なし) |